前回まで、現在までの環境福祉の到達点として、SDGsとESGについて述べてきた。今回からは、個別分野ごとに環境福祉の発展の歴史を辿り、具体的に環境福祉学の重要性を深めたい。最初に鉱業を取り上げたい。 今我々は地球環境の危機に直面している。地球温暖化の進行は化石燃料の大量消費によるものであり、鉱業の発展と期を一にしている。 近年、地球温暖化の大きな原因に挙げられるガソリン車に代わって電気自動車に人気が集まっているが、これに搭載されるリチウムイオン電池には大量の銅やレアメタルが使用されている。このため最近、これらの国際価格が急騰しているので、銅の生産が今後増大していくだろう。 しかし、銅の採掘・精錬には昔から大規模な森林伐採が伴い、環境を破壊してきた。排水、排ガスによる鉱害も深刻な問題を生じてきた。また、鉱山開発のために原住民の強制的な立ち退きも行われている。 |