「歴史的ですね」とテレビ局の女性記者が低いトーンで呟いた。目の前で制服の警察官、ヘルメットと作業着の職員と警備員が並ぶ。張り巡らしたフェンス。チェーンソーの身を切るような轟。2本の大木が伐られ、叫び声、泣き声、怒鳴り声、涙と汗。これが2022年の都心の出来事だと信じられるだろうか。 4月26日の深夜、千代田区神田錦町3丁目の神田警察通り、この区画に、32本の樹齢50〜100年ほどの銀杏の街路樹が並ぶ。今最も美しい若葉に覆われている。 これを強引に伐ろうとする区役所と、保存を望む住民が、露骨にぶつかることになった。 |