日本鉄鋼連盟は15日、「我が国の2050年カーボンニュートラルに関する日本鉄鋼業の基本方針」を発表した。それによると、政府の野心的な方針に貢献すべく、「ゼロカーボン・スチール」の実現に向け、鉄鋼業自らの生産プロセスにおけるCO2の排出削減などに果敢に挑戦するとしている▼一方、ゼロカーボン・スチールの実現は、一直線で実用化に至ることが見通せない極めてハードルの高い挑戦だと強調。炭素回収・利用・貯留(CCUS)などで不可避的に発生するCO2を処理するか、CO2を発生しない「水素還元製鉄」を行う以外に解決策はないとしている▼そのため、中長期の技術開発を支える国の強力かつ継続的な支援や、経済合理的なCCUSの社会実装等を柱とした国家戦略の構築などを政府に要望。そして、炭素税や排出量取引制度等の追加的なカーボンプライシング(CP)導入はイノベーションを阻害し、結果的にゼロカーボン・スチールの実現に逆行すると従来の主張を改めて展開している▼このCPについて、経産省は菅首相の指示を踏まえ、「世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会」の初会合を17日に開く予定であり、今後の議論の行方が注目される。 |