小中学生の頃は切手収集が趣味だった。わずかなコレクションの中に国立・国定公園シリーズがあった。戦前から発行され、切手ファンにも人気がある。美しく雄大な自然が精緻に描かれ、魅了された。いつか実際に行ってみたいと切手を見ながら思いを馳せた記憶が甦る▼国立公園等は日本を代表する自然の風景地であり貴重な観光資源だ。菅首相が官房長官時代から注力する、インバウンドを基軸とした環境立国政策の核にもなっている。またコロナ禍で自然の中での活動やワーケーションへの関心も高まっている▼こうした中、これまでどちらかといえば保護に重きが置かれていた、国立公園などの自然公園のあり方を「保護と利用の両立」へと転換する方針が1日、中央環境審議会の答申で示された。利用に応じた地域の区分けや地域主体の自然体験プログラムの開発・提供、廃屋撤去や街並みの改善などによる質の向上、地域との協働による管理体制の充実が主な柱だ▼答申を踏まえ環境省は、今国会に国立・国定公園の保護・利用を定めた自然公園法の改正案を提出する。人口減少、過疎化が進む一方の地方では、国立公園等はますます重要な観光資源となる。利用面のさらなる強化を図ることで、地域活性化につなげてほしい。 |