新型コロナウイルスの感染が拡大しつつあった昨年3月、同志社大学心理学部の中谷内一也教授が、マスクの着用がどのような心理的要因と結びついているのかを全国調査し分析した。それによると、人々がマスクをする理由は他の人が着用していることに同調しようとする傾向と強く結びついていて、本来の目的である感染防止との関連性はごく弱いことが分かった。この結果から中谷内教授は、人の判断・行動特性を理解し、それを踏まえて望ましい行動を促すナッジという手法が、マスク着用を促すために有効な手段だとした▼「脱炭素」「資源循環」と環境政策はこのテーマに臨んでいるところだが、国民が認識し、行動するにはこのナッジ仕掛けが必要ではないだろうか。レジ袋が有料になって利用率が下がっているが、その要因で最も多い理由は有料になったからであることは否めず、今後も、環境保全に協力しないとお金が徴収される、得しないという仕組みは効果的だとは思う。ただ、ここまでしなくても、ナッジの手法を用いて国民が自然と環境保全に参加できるようにはできないだろうか。気候変動を間近に感じられるようになっている今、同調感を使って強制ではなく自発的に環境保全に参加させるのも手だ。 |