まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」が問題になっている。その量は日本全体で年間約621万トン(14年度)に上っており、これは国連世界食糧計画による世界全体の食糧支援の2倍にも相当するという▼食品ロスの削減に向けては、賞味期限などを巡る小売業界の商習慣の見直しや、消費者の生活習慣の見直しに向けた取り組みなどがこれまでも進められてきたが、大きな成果を上げるに至っていないのが実情。削減の実効性を上げるには、やはり国や自治体を含むあらゆる主体が連携し、国全体として着実に対応していくための法的枠組みが必要だろう▼そうした中、公明党がこのほど「食品ロス削減推進法」の骨子案を示した。多様な主体を連携させた「国民運動」として削減を推進するため、内閣府に設置する推進会議が基本方針を定め、それを踏まえて都道府県、市町村が計画を策定し、対策を実施することなどが柱だ▼「フードバンク」活動への支援を盛り込んでいる点も特徴であるが、食中毒を懸念し提供をためらう事業者があるため、食品の提供に伴う責任のあり方なども検討しているという。骨子案には自民党も合意しており、今後、多くの野党の賛同を得て、今国会に議員立法として提出されることが期待されている。(工)
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